第二回 スペシャルインタビュー 前編

  • 永田さん、こんにちは。 第二回という重要な回に登場してくださいまして、誠に有難うございます。
    第一回の反響が高かったので、待ちに待ったという読者のかたも多いのではないでしょうか。
    今回の永田さんはエグゼクィブメンバーの中で若手の代表です。よろしくお願いいたします。
  • 永田様永田 暁彦(ナガタアキヒコ)
    株式会社ユーグレナ 取締役 財務・経営戦略担当
    株式会社ユーグレナインベストメント 代表取締役社長
    リアルテックファンド 代表
    【略歴】 慶応義塾大学商学部卒。
    独立系プライベートエクイティファンドに入社し、プライベート・ エクイティ部門とコンサルティング部門に所属。2008 年にユーグレナ社の取締役に就任。 ユーグレナ社の未上場期より事業戦略、M&A、資金調達、資本提携、広報・IR、管理部門 を管轄。技術を支える戦略、ファイナンス分野に精通。現在はユーグレナ社の財務、経営 戦略を担当するとともに、日本最大級の技術系 VC「リアルテックファンド」の代表を務める。
  • 永田さんは、9年程前にインスパイア華道部からお稽古を始め、5年前からは個人で教室に通ってくださっています。
    先ずは、華道を始めようと思ったきっかけ、そして、個人で通うようになるまでの経緯をお話いただけますか。
  • 永田 9年前にインスパイア華道部で華道に触れたことがきっかけです。
    その中で、2ヶ月に1回ほどの教室では物足りなくなり、もっと「道」として真剣に学びたいと思うようになり、個人で教室に通うようになりました。
    個人で教室に通うようになったころに、母とそのことを初めて話したのですが、実は母も祖母も華道を長年学んでおり、私が赤子のころは畳に転がして花を生けていた、と(笑)そういうふうに言われて振り返ると、家に花器がありましたし、季節になると季節の花が生けてありましたので潜在的に教育されていたのかもしれません。
  • 華道を始めてからわかったというのが、素敵ですね。 教室の生徒さんにはご家族が華道を嗜んでいた、というかたがとても多いです。やはりDNAなのでしょうか。
    実際いけてみて、いけばなの第一印象はいかがでしたか。
  • 永田初めての教室はやはり自由花でした。正直、難しくて苦しくて、本当に辛かったです。
    真っ白なキャンバスに好きなように絵を描く、というような感覚で、さぁどうぞ、と言われても最初の一手が進まない。
    しかしながら、その後生花を真剣に学び、池坊の歴史、それぞれの花の持つ雰囲気や意味を知り、様々な学びを重ねて自由花に触れ直すと全く違うんですよね。
    自由花でも、花が「こう生けて」といってくれるというか。一人で悩むというより、花と一緒にいけられるようになって楽しさというものがわかってきました。
  • よかった、辛いが楽しくなって。やはりいけばなは楽しいだけでも、難しいだけでも続きません。
    先ずは、楽しいと感じていただき、その上で奥が深い、だから難しいと自身で気づける。ここが重要です。
    永田さんは大変お忙しい中を、一月に二回のペースで通ってくださいますが、回数が増えて変わったことはありますか。
  • 永田
    日々の生活の中で全く異質な「華道の時間」を月2回でも持つことは、言葉で表現することが難しいのですが、運動や睡眠とは違う切り替えが行われていることを感じます。普段仕事のあとに教室に参加するのでヘトヘトなこともあるわけですが、なぜか華道のあとは元気になっているんです。脳も神経も使っているのに。ヨガとか禅に似た要素があるように感じています。
    スケッチをする永田氏また、僕は教室で花を生けたあとはその作品を毎回スケッチしているのですが、今年からiPad Proとapple Pencilで「Procreate」というアプリを使ってスケッチするようにしたんです。普段からiPad Proは常に持ち歩いているんですが、例えば長いフライトでイライラしてきた時とかに、脳内に浮かんだ生花をiPadに描いたりすると集中して気分が落ち着くんです。ある意味、いけばなを持ち歩いている、というか。一つの精神安定法になっています。

    同じ生花をイメージして描いても、毎度見どころが変わったり、不思議ですね。
    花材はだいたいアカメヤナギとアイリスの二種生けなのでもう少し脳内のバリエーションを増やしたいですが。。
  • この前、アプリを使ったスケッチ、見せていただきました。とてもリアルなのには驚きました。私もやってみたいですし、皆に薦めたいたいです。
    さて、永田さんは、『ミドリムシ』を開発した東大発のバイオベンチャーとして大変注目されている株式会社ユーグレナの取締役をされていらっしゃいます。
    特に上場されてからは、石垣島や世界中を飛び回り、ビジネスだけでなく様々な国の伝統文化にふれる機会もあると思いますが、海外で自分が華道を学んでいると話されたりしたことはありますか。
  • 永田話をしたことはありますが、本当に難しいですよね、華道を外国の方に説明するのは。
    英語にすると「Japanese flower arrangement」とされてしまうんですが、少しでも真面目に華道をやっていると絶対そうとは言いたくないじゃないですか。JudoとかKarateのようにIkebanaと言って「あのIkebanaね」と言われるようしたいですね。
  • たしかに、arrangementとはいいたくない。世界に向けてもっとikebanaをメジャーに上げていきたいといつも思っています。
    そういえば、今年2月にテレビ朝日の池坊を特集した番組で、うちの教室が取材された時には、インタビューに応えてくださり有難うございました。
    普段も仕事関連でメデイアに取材される時も多いと思いますが、今まで一番緊張した取材や番組はどんなものでしたでしたか。
  • 永田
    緊張した取材というのは正直無いです。
    取材に限らず重要な会議や発表会などでもそうですが、何かを話すときに緊張する場合は、聞かれる内容について自信がなかったり思考が浅かったりする事象なんですよね。

    そういう意味では、きちんと経験があるものや深く思考しているもの、自信がある内容の取材でないと受けないということとも言えます。
  • さすがです!そのように言える人はなかなかいません。
    教室の皆も驚きますね、逆に、永田さんから見たいけばなbijouxといけばなluxeのメンバーの印象や教室の雰囲気はいかがですか。
  • 永田
    まず、何も知らない状況で華道教室をイメージすると、少し高齢の女性が集まっている場所、というイメージが正直あるかなと思います。
    でも今参加させてもらっている教室は、人、場所、空間、全てがイメージしていたそれとは違います。
    メンバーも同世代が沢山いますし、男性も多い。様々なバックグラウンドで仕事をしている方が多く、教室内の会話は花の話だけでなく他の文化の話や経済の話など本当に多様で、ある種の文化交流の場にもなっていると感じます。
    それでいて誰一人偉そうとか嫌味な方がいないのがとても居心地がいいです。
  • 嬉しいですね。
    いけばなbijouxの三教室はそれぞれ教室としての個性があると思いますが、全体を通すと男女ともにおっとりとした雰囲気の穏やかなかたが多いような気がします。
    場所が東京の中心にあるせいか、様々な業界でしっかり仕事をしながら、仕事帰りに花をいけてリフレッシュしていくと。
    ただ、私としてはこの教室に入って池坊いけばなに出合ってくれたことを、必ず次の出合いに繋げていきたいと思っています。
    永田さんは生花のお稽古が多いですが、生花の魅力や難しいとおもうとところはどんなところでしょうか。

  • 平成28年度旧七夕会池坊全国華道展
    経済界の華道人コーナーに
    生花三種生けを出瓶  

    第2回いけばなbijoux社中展
    (池坊東京会館1階)
    生花株分けを出瓶

    第一回いけばなbijoux社中展
    ( 表参道Wanocoto )
    生花二種生けを出瓶
  • 永田
    シンプルで定められた型があるのだけれども、花材の個性も出やすく、自らの個性も出せる、とっつきやすく奥深い、なんというか池坊で学んでよかったな、と思う型です。
    何回もやっているのに一度も満足できる出来になったことが無いです。
    先生や先輩の作品を見ながらいつまでも学ぶ点があり、奥深いです。
  • 教室での皆さんの和やかなやり取りを見ていますと、私もとても嬉しく刺激になります。
    男女、年齢、仕事を超え、華道という共通項で知り合った人間関係には、普通とは違う関係性がありとても純粋な気がします。
    皆には感謝の気持ちでいっぱいです。
    今まで永田さんは、普段のお稽古の成果を発表する意味でも社中花展、インターネットエキシビション、京都旧七夕会花展と趣きの違う花展に積極的に出瓶されてきました。
    花展の意義はあったと思いますがそれぞれの結果や感想を聞かせてください。
  • 永田順位付けをするものではないですが、一番思い出深いのは社中花展です。
    自分の作品としては二株の水陸生けにチャレンジするなど、良い機会になったのですが、それ以上に遅い時間まで準備をしたりする中で、教室の仲間たちと時間を過ごすことがなんだか学生時代の文化祭のようで、世代や性別を超えて時間や成果を共有する、ということがとても楽しかったです。
    また、京都旧七夕会は全く別の通常ではできない体験が得られとても為になりました。日本中の池坊で華道を学ぶ方が集まる場所で自分の作品を展示するわけですので。
    とても面白い体験としては、来場者の方々にユーグレナってミドリムシの会社よね?と多くのお声がけを頂いたことです。確かに自社商品のターゲットとなる年代の方が多いとはわかっていましたがここまでとは、と驚きました。お陰様で池坊の雑誌「The Ikenobo」に広告を掲載することにしました(笑)

  • 教室でお稽古する永田さん

     
  • そうです、「The Ikenobo 」をめくったら、裏表紙に永田さんが花を生けている写真があって、ユーグレナの広告とわかり驚きました。 インパクト大!でした。反響も大きいと思います。
    華道というと歴史的には男性いけるのが主流だったのですが、明治期以降今まで女性がお稽古するのが圧倒的に増えてきました。
    今でもそのようなイメージが多いのですが、永田さんのような池坊人が増えて行くと将来が広がって行きます。頼もしいかぎりです。 永田さん、有難うございました。
  • インタビュー後編は、これからの日本をリードしていく企業人としての視点から見る華道また未来に向けての夢を伺って参ります。 皆様、来月を楽しみにお待ちください。